洋服と和服の違い|Between Wear

洋服と和服の違い

洋服と和服の違いは、見た目だけではありません。

襟の形、袖の形、シャツやパンツといった種類の有無、帯を使うかどうか。そうした違いもありますが、より大きく見ると、洋服と和服は身体と服の関係や、布の扱い方が大きく異なります。

大まかに言えば、洋服は『身体に合わせて作る』服です。一方で、和服は『身体に合わせて着る』服だと言えます。

洋服は、『身体に合わせて作る』服

洋服は、西洋の衣服文化をもとに発展してきた服です。

古代から中世、近世、近代へと時代が進む中で、西洋の衣服は、社会階級、職業、性別、礼装、流行などと結びつきながら変化してきました。

特に近世以降の洋服では、身体の形をどのように見せるかが重要な要素になります。

女性服では、ウエストの位置、スカートの広がり、胸や腰のラインなどによって、時代ごとの理想的なシルエットが作られてきました。男性服では、宮廷服、軍服、乗馬服、職業服などの流れを経て、ジャケット、シャツ、ベスト、パンツといった現在のスーツに近い構成が発展していきました。

洋服は、身体に沿わせること、身体の線を整えること、用途に合わせて形を分けることによって進化してきた服といえます。

立体的に作られる洋服

洋服の特徴は、身体の部位に合わせて立体的に作られていることです。

肩、胸、腰、腕、脚。それぞれの部位に合わせて布を裁ち、縫い合わせることで、身体に沿った形を作ります。

たとえば、ジャケットには肩の線や袖の角度があります。シャツには袖ぐりや襟があります。パンツには脚を通すための筒状の構造があります。

洋服は、服そのものに形があります。そのため、サイズやシルエットがとても重要になります。肩幅が合っているか、身幅に余裕があるか、袖丈や着丈が合っているか、身体の動きに合っているか。洋服を選ぶとき、私たちは自然にこうしたことを見ています。

また、洋服はアイテムごとの役割が分かりやすい服でもあります。トップス、ボトムス、アウター、インナーという分類によって、気候や場面、仕事、運動、外出などに合わせて組み合わせを変えることができます。

和服は、『身体に合わせて着る』服

和服もまた、長い時間をかけて変化してきた服です。

現在の着物につながる形は、平安時代の小袖にルーツを持つとされています。小袖は、もともとは下着に近い位置づけの衣服でしたが、時代が進むにつれて表着として着られるようになっていきました。

鎌倉時代から室町時代にかけては、着流しの形や袴との組み合わせなど、生活や職業に応じた着方が見られるようになります。江戸時代には、町人文化の発展とともに、現在の着物に近い形が整い、染めや織り、柄、帯の結び方などにもさまざまな流行が生まれました。

和服は、その構造を大きく変えることなく、時代ごとの生活や美意識に合わせて着方を変えながら続いてきた服です。

現在では、和服は成人式、卒業式、結婚式、祭りなど、特別な場面の服として見られることが多くなっています。しかし、もともとは生活の中で着られていた服でもありました。

布を使い切る和服の構造

和服の特徴は、反物という一定の幅を持つ布をもとに作られることです。

洋服のように身体の形に合わせて曲線的に裁断するのではなく、直線的な布の構成を基本にしています。身頃、袖、衽、衿などのパーツはありますが、全体としては長方形に近い布の組み合わせで作られます。

この構造には、和服ならではの考え方があります。

布を切り落とさずに使い切ろうとすること。仕立て直しや寸法直しによって、長く使うことが考えられてきたこと。

和服は、身体にぴったり合わせて形を固定するというより、比較的シンプルな構造の布を、着る人に合わせて整えていく服です。

この、ある意味「大雑把」ともいえる構造は、和服の弱点ではなく、むしろ大きな特徴です。人に譲る。体形が変わっても着続ける。仕立て直して使う。着方や合わせ方で印象を変える。そうした余地を持っているのが、和服の面白さです。

シンプルな構造が、着こなしの幅を広げる

和服は、服そのものを作り込むものではありません。そのため、同じ着物でも、着る人や合わせるものによって印象が変わります。

帯の位置、衿合わせの角度、裾の長さ、羽織や袴との組み合わせ、素材や柄の選び方。こうした要素によって、見え方が大きく変化します。

洋服は、服そのものの形やシルエットで印象が決まりやすい服です。和服は、着方や組み合わせによって印象を変えやすい服です。

同じ服の印象を着こなしで変えることができる、ということは着物がシンプルな構成だからこその特徴であり、魅力だと言えます。

生活様式とともに変わる服

服は、生活様式と切り離して考えることができません。

西洋で発展した洋服は、椅子に座る生活、靴を履く生活、都市での移動、職業服、軍服、礼装、スポーツ、産業化などと結びつきながら変化してきました。

一方、日本では、畳の生活、履物、気候、季節感、身分制度、礼法、家の中と外の関係などの中で和服が発展してきました。

近代以降、日本にも洋服が入ってきます。最初は軍服、官服、制服、礼装、職業上の服などを中心に取り入れられ、その後、都市生活や学校、仕事、戦後の生活変化の中で、日常着として広がっていきました。

和服が日常から離れていったのは、単に和服が古く、洋服が新しかったからではありません。

生活の道具、働き方、移動手段、住まい、手入れの方法、服を買う場所。そうしたものが変わる中で、日常着として選ばれやすい服も変わっていきました。

服は、形だけで成り立っているものではありません。どのような場所で過ごし、どのように働き、どのように移動し、どのように手入れをするのか。その生活全体と結びつきながら、服の役割は変化していきます。

だからこそ、洋服と和服の違いを考えることは、単に過去の服装を比べることではありません。今の生活に合う服とは何かを考えることにもつながります。

これからの装いを考える

洋服と和服は、異なる文化の中で発展してきた服です。

そのため、同じ基準だけで比べると、どちらかが便利で、どちらかが不便だという話になりやすいかもしれません。

しかし、洋服には洋服の、和服には和服の歴史があります。

違いを知ることは、それぞれの服が持つ魅力を知ることにつながります。

現代の私たち日本人の多くは、洋服を日常の服として着ています。そのうえで、和服の構造や文化を過去のものとして遠ざけるのではなく、今の服と並べて考えることもできるのではないでしょうか。

洋服と和服を対立させるのではなく、共存させる。それぞれの違いを理解したうえで、今の生活に合う着方を考える。

その視点の中に、これからの和服の可能性があるのだと思います。

WEAR-2.5について

WEAR-2.5は「和服の考究と更新」をコンセプトに、ファッションとしての着物をつくるブランド。

補正具も、着付けの知識も必要としない、洋服とのスタイリングを前提とした着物。

過去の文化にしないための、これからの着物の在り方を考察します。

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